Note
HANSBOODT MANNEQUINSの新作レビュー:展示会レポート vol.1
インタビュー

この7月に東京・浜松町の東京都立産業貿易センターで、彩ユニオンの自社製品を披露する展示会「FEEL THE SPACE」を開催しました。展示会レポートの第一弾として、私たちが日本での公式パートナーとして扱う、オランダ発のハンスブートマネキンの魅力について、この展示会に合わせてロッテルダムの本社から来日した、同社のインターナショナルビジネスマネージャー、Cor Montebanさんへのインタビューをもとに紹介します。

まずは、マネキン展示エリアの中央に展示された、マットな質感のクールグレーで仕上げられたUNTITLEDコレクションについて聞きました。
「これは、昨年発表したばかりのUNTITLEDのアブストラクト、つまり、UNTITLEDコレクションに抽象的なヘッドを合わせたタイプだ。UNTITLEDは、リアルなポージングが特徴で、男女それぞれ一人ずつ実在するモデルの身体をスキャンして製作したマネキンなんだよ。モデルには有名人ではなく、普通の生活をしているようなモデルを起用している。このコレクションでは、この都会的で自然なポーズをよく見て欲しいんだ。いまストリートにいる人は、みんなスマートフォンを見てるよね。だから、モデルの二人には、そんな自然なポーズをとってもらい、それを3Dスキャンしてマネキンとして再現しているんだ」とCorさんはポーズの特徴を熱く語ります。

なぜ、ここまでリアルなマネキンに取り組んだのかを尋ねると「UNTITLEDコレクションは2019年に開発を始めて、現在では発売から4、5年ほどが経っている。開発に取り掛かったころの従来型のマネキンは、とてもマネキンらしいとも言えるんだけれど、ちょっと堅苦しいというか平凡なところがあるように見えていた。そこにエモーションはあるけれど、僕らはもっとリアルなエモーションが欲しかったんだ。そして、今までにない新しいものを開発すべきだと考えた結果、リアリスティック、つまり具象的な顔のあるUNTITLEDの開発に取り組んだんだ」。リアリスティックシリーズのフェイスには、ラテン系、アフリカンアメリカン系、アジア系など、多様なバックグラウンドを持つ男女のリアルな顔立ちが表現されています。

「ハンスブートの顧客全員がリアリスティックフェイスを求めているわけではないので、ニュートラルなフェイスのシリーズ、アブストラクトを追加したんだ。アブストラクトでは、顔は抽象的だけれど、ナチュラルで都会的なポーズという点は完全に継承している。僕はこれまでに、いくつかの革新的なマネキンの誕生を目にしてきた。このUNTITLEDは、スキャンしてつくるという製法も斬新なものだが、この自然なポージングは間違いなく大きな革新だった」と言います。壁に寄りかかったり、床に足を投げ出して座っていたり、実際に街で見つけるようなこうしたポージングは、ファッションや小物を身につけたとき、よりリアルな存在感を発揮します。

今回展示したアイテムの中で最新作を尋ねると、まだ名前はついていないが、3Dプリンターで製作したいいものがある、と会場内を案内してくれました。「これは彩ユニオンのために製作したマネキンで、腰の後ろでハンギングできるようにしている。従来品より30〜40パーセントほど軽量だが十分な強度があって壊れにくい。とてもサステナブルなマネキンで、マテリアルは100%リサイクル可能だ。いま、大手ブランドはどこもサステナビリティーに大きな関心があるので、こうした高い持続可能性を備えていることはとても大切なんだよ」とCorさん。現在、ハンスブートの工場には、15台の3Dプリンターが常に稼働しており、数台はR&D用、数台はプロトタイピング用、残りは検証用、というように役割を分けて活用されています。

また、会場内で大いに注目を集めたのが、ディスプレイの新しい時代を標榜して2026年にデビューしたAERAです。air(空気)からインスピレーションを得て、軽やかさと自由を表現したこのプロダクトには、人間工学に基づいた男性用・女性用のシルエットがあり、ボディ中央を中空としたフォルムが最大の特徴です。「上半身だけのこのコレクションは上部から吊り下げる構造で、本体は3Dプリンターで製造している。いくつかのカラーバリエーションに加え、Wonderglassと僕らが呼ぶ半透明タイプから選ぶことができるんだ」とCorさんは語る。また、ダイナミックな動きを表現したSPORT コレクションでは、パフォーマンス、アスレジャー、アウトドアなどさまざまなテーマに沿ったリアルな一瞬を切り取ったポーズが訪れた人の目を惹きつけました。



インタビューの最後に、Corさんから見た日本のマーケットについて聞くと、「他国と比べて、日本でのポテンシャルはとても大きい。それは、日本ではレンタル利用が多く、他の国より販売が少ないという傾向があるからだ。決して容易なマーケットではないけれど、彩ユニオンとパートナーとなってから僕たちは成長してきたし、これからもっと成長できるポテンシャルを秘めているんだ。今回の来日中に、数社のクライアントを訪ねたが、僕たちのマネキンにみな大きな関心を示してくれた。日本には世界展開するブランドや大手スポーツブランドのクライアントがいるけれど、他にもさまざまな機会があると見ているんだ」と語ってくれました。2007年にハンスブートに入社したCorさんは、2008年から継続する彩ユニオンとのパートナーシップについて、「もう18年間も経ったんだよ。あと2年したら盛大にお祝いしないとね」と笑顔を見せてくれました。


次回Noteでは、展示会レポートの第二弾を掲載予定です。お楽しみに。
撮影:秋葉雅士