彩ユニオン

Note

高品質と低価格を両立した、海外生産による彩ユニオンのものづくり

インタビュー

2025年10月にオープンした、アンドエスティHDが展開する「BAYFLOWイオンモール須坂店」。ブランドにとって長野県初進出となったこの店舗で、私たちは特注什器の製作を担当しました。ベトナムの協力会社と連携し、クライアントから品質と価格の面で高い評価を得た什器づくりについて、スポーツアパレルから百貨店での仕事まで、幅広い売り場づくりを日々サポートする、彩ユニオン東京支店・営業三課の仲谷真之介さんに話を聞きました。

ーーまず、今回のプロジェクトが始まった経緯を教えてください。

これまでにアンドエスティHDさんが展開する案件での実績があったことや、過去に仕事をしたことのあった方との縁もあり、什器製作の入札に参加する機会を得ました。出店時の初期費用を抑えたいというご要望を聞いていたので、社長の大久保らが現地を訪ねたことのあったベトナムの協力会社と連携し、海外生産する体制を組んでの入札価格を提示したのです。

ーー国内でつくるよりも、かなりコストが削減できるのですか。

はい。これまで彩ユニオンでは、中国の協力会社との取り組みを何度もしてきましたが、輸送費を含めても、中国やベトナムで製造すれば価格を大きく下げられることは明らかでした。海外生産するにあたり、スケジュールや製作の難易度は考慮する必要がありますが、低価格で質の高い什器を納めることができれば、お客さまに大きなメリットがあります。また、私たちは単に海外生産したプロダクトをそのまま納品するのではなく、プロの目で検品を行い、補正が必要な部分があれば、すぐに国内の製作拠点で日本の職人が手直しする体制があるので、品質にこだわるプロジェクトであっても、海外生産をご提案できるのです。

ーーそれは依頼側にとって安心感がありますね。今回は、海外生産によるコスト減が強みとなり、受注につながったのですね。これまで海外でものづくりをするプロジェクトの経験はあったのですか。

私にとっては今回が初めてだったので、何から始めたらいいんだろう、という戸惑いはありました。しかし、ベトナムの協力会社には日本人の方が常駐しており、日本語で細かなやりとりができる体制があったので、安心して進めることができました。

ーーベトナムの工場に行く機会はありましたか

受注が決まった直後の4月に1回、中間検査と最終検査のため6月に2回の計3回、京都ラボの工場長である山下、発注管理を担当する金子と私の3名で行きました。最初に訪問した際は、施工精度を確認したかったので、ハンガーラックやミラーなど数点の試作を依頼していました。不具合があればその場で指示しようと思っていたのですが、何も指摘することはない仕上がりでした。また、工場で働くベトナム人スタッフの中には、日本語を話すスタッフもいて、言葉の壁が少なかったことも私にとってはやりやすかったですね。

ーープロジェクトを進めていく中で、一番苦労したことはなんでしょう?

船での輸送に2週間掛かるなど、国内製作より時間が必要なことは理解していたのですが、日本では当たり前に使える金物や化粧板がベトナムでは手に入らないという問題があり、サンプルチェックと設計変更が発生し、その確認に想像以上に時間が掛かったことです。クライアントにお借りしたサンプルをベトナムに送り、それに近い素材をベトナムから取り寄せてクライアントと設計者に確認するのですが、そのやりとりを3往復してようやく確定したものもありました。製作期間に余裕を持って始めたプロジェクトだったため、最後まで細部へのこだわりを反映させることが出来ました。

ーーこの店舗の中で、印象に残っている什器はありますか。

角度を調整できるミラーのある脚付きの什器があるのですが、この可動部分が、塗膜のわずかな厚みのせいでスムーズに動かないという不具合が国内納品後に見つかりました。そこで、すぐに什器の上半分を京都の工場に送り、調整をしてからお客さまへの引き渡し前に再納品しています。。この時すぐに対応してくれた京都ラボの製作チームをはじめ、倉庫や輸送にあたる物流チームなどが、全員野球のようにそれぞれのポジションで役割を果たすことで、高いクオリティーを保つことができたのだと思います。

ーーベトナムで製作して良かったことはありますか。

日本では一般的な素材が手に入らないことは大きな課題ではあったのですが、逆にベトナムだからできた什器があります。日本であれば有孔合板を使うところを、ベトナムには代替素材がなかったので、化粧板に一つひとつ孔(あな)を開けて製作したのです。他の什器と同じ化粧板を使い、見栄えを統一することができたことに加え、さらに下地を工夫することで、端にある孔にもフックを取り付けられるようになりました。この什器に関しては、日本でつくるよりも実用性が高いものを納品することができ、設計者の方々に満足していただくことができました。

ーーそれは素晴らしいですね。

全体を通じて仕上がりの精度は申し分なく、特に木製什器のクオリティーがとても高いと感じました。引き渡し時の竣工検査は、いつも緊張する瞬間なのですが、この店舗では、シビアな目を持つクライアントと設計者から、有孔板の什器への気配りなども含め、高く評価してもらえたことが何よりも嬉しかったですね。

ーー海外生産という選択肢は、これからも活用できそうですか。

今回のようなプロジェクトでは、ブランドの価値を守る、つまり、ブランド独自の世界観を保つことが何よりも大切なことですが、その点をふまえても、日本側で品質を支える私たちの海外生産体制が大いに活用できると確信しました。サンプルチェックの時間短縮といった課題はありますが、製作物のクオリティーについては、自信を持って提案できるレベルにあることがわかりましたので、カジュアルなファッションや雑貨のお店はもちろん、今後はよりアッパーなブランドのものづくりにもチャレンジしていきたいと思っています。

(終わり)


PROFILE

仲谷真之介(なかたに・しんのすけ)

学生時代に空間・プロダクトデザインを学んだ後、彩ユニオンへ。現在は、東京支店営業三課の課長として、デザインから現場まで幅広く関わりながら、プロジェクトを推進している。周囲とのコミュニケーションを大切にすることをモットーとする、意外と几帳面なO型。